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リディアの冒険

丸呑み大好き 作


9話

その後、ランドウォームにリベンジしたリディア。
ついにリディアは、ランドウォームを倒して洞窟を抜けることに成功した。
リディア「・・・・・・・・・・・・。」
リディアが、恐る恐ると辺りを見回す。
リディア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
洞窟を抜けた先。
ミストは、壊滅的な様相を呈していた。
町のあらかたはボムに焼き払われ、それでも僅かに残っていたであろう家屋も地殻を揺るがす大地震で跡形もない。
リディア「・・・・・・・・・・・・。」
リディアはその有様を見て、半泣きで呼び始めた。
リディア「・・・・・・・・・・・・お母さん・・・・・・。・・・・・・お母さん・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
リディアが、襲い掛かるボムモンスターを倒しながらウロウロしてると、声が聞こえた。
???「リディア・・・・・・。リディア・・・・・・おねがい・・・故郷を、ミストを助けて・・・・・・」
リディアは、声のするほうへ向かい歩いていく。
すると、また声が聞こえた。
???「ボムたちはあらゆるものの魂を吸収して成長します。草花、動物、人間までも・・・・・・。バロンの兵たちは、ボムを大量に作り兵器に使おうとしました。私たち召喚士の魂は、ボムを増やし育てるための格好の餌と判断されました。」
リディア「・・・・・・お母さん。何処なの・・・・・・?」
リディアが進むたびに、声は少しずつ大きくなっていく。
???「・・・結果は大成功でした。バロン兵たちは廃墟となったミストにボムの巣を設置し、死んでいった同胞たちの魂を喰わせ、たくさんのボムを生み出しています・・・・・・。このままゆけば、大量に増殖したボムがいずれ世界中の主要都市を襲うでしょう。そうなれば、世界中がミストと同じ滅びの道を歩んでしまうことに・・・・・・。」
リディア「・・・・・・ひどい・・・・・・」
???「解放されぬ魂はいま、永劫に続く苦痛の中でその身を食い荒らされつづけています。忌まわしき『兵器』を作るため、ただ、それだけの目的で・・・・・・ああ・・・・・・・・・。私の魂もボムに取り込まれ・・・・・・、もうすぐに・・・」
聞こえていた声がだんだんと弱々しくなっていく。
リディア「そんな・・・・・・」
???「リディア・・・・・・。おねがい・・・助けて・・・・・・。・・・リディア・・・・・・」
その言葉を最後に、声が聞こえなくなってしまった。
リディア「お母さん・・・・・・お母さんっ・・・・・・!」
リディアは何度か呼びかけるが、返事は返ってこなかった。
リディアのその声は、近くのバロン兵に聞こえてしまい、見つかってしまった。
バロン兵A「な、なんだ!?」
気付いたバロン兵は、リディアの方へ向かってくる。
リディア「サンダー!」
バロン兵A「ぐわぁっ!!」
リディアは呪文を唱え、そのバロン兵を倒した。
バロン兵B「なっ・・・召喚士の生き残りがいたのか・・・!?」
見回りをしていたバロン兵も、リディアに近づく。
リディア「・・・ブリザド!」
バロン兵B「ぐが・・・ッ!!」
リディア「・・・・・・あなたたちの好きになんてさせない・・・ッ!! ここは私の故郷、わたしたちの、大事なふるさとなんだから・・・!!!」
リディアはバロン兵を倒すと、他のバロン兵達に向かって叫んだ。
そのとき・・・・・・
グオォォ・・・・・・・・・
リディアの近くで何かが呻った。
リディア「・・・・・・・・・ッッ!!!」
リディアがその方向を見て一瞬驚いたが、すぐに冷静に判断した。
リディア「・・・・・・あれが、ボムの巣・・・・・・。ひどい、みんなの魂を吸ってあんなに大きく・・・・・・」
オォォォォ・・・・・・
リディア「苦しんでる・・・みんなが、苦しんで・・・・・・それに、悲しんでる・・・・・・・・・」
リディアは、周りの家と同じくらいの大きさになっているボムの塊の呻き声から感じ取った。
リディア「・・・あいつ、その苦しみを吸って・・・・・・大きく、なってる・・・。まだ、増えるつもりなんだ・・・。」
リディアは怒りで震えている。
リディア「・・・させない・・・・・・。」
そして、リディアの怒りは頂点に達した。
リディア「・・・絶対に、絶対に・・・そんなこと、させない・・・!」
ォォォ・・・・・・・・・・・・・・・!!
グオォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・!!!!
巨大ボムは、リディアの方を向いて呻り、今にも襲い掛かろうとしている。
バロン兵C「そうか・・・・・・あの小娘も取り込みたいのか・・・・・・」
リディア「ふるさとを・・・! みんなを・・・!!」
リディアは詠唱を始めながら言う。
リディア「お母さん・・・・・・みんな・・・・・・。みんな・・・私が、助けるんだ・・・っ!!!!」
バロン兵C「ボムスワームよ・・・・・・次の餌だ。あの生意気な小娘を吸収してしまえ!!」
ボムスワームは、その合図と同時にリディアに襲い掛かった。
リディア「ブリザド!」
詠唱を始めていたリディアが真っ先に攻撃を仕掛ける。
氷の雨がボムスワームに降り注ぐが、その攻撃は全て吸収されてしまった。
ボムスワームはリディアに向かって、ファイアで攻撃を仕掛けた。
リディアは身を交わし、更に攻撃を仕掛ける。
リディア「もう一度、ブリザドッ!」
再び氷の雨がボムスワームに向かって降り注ぐが、やはり吸収されてしまい、ダメージを与えられなかった。
リディア「・・・どうすればいいの・・・・・・?」
リディアの攻撃を全て吸収したボムスワームは活性し、更に、ファイアを唱えてきた。
リディアは、相手のファイアを食らってしまう。
リディア「きゃうっ!! いや・・・・・・ッ、ほのおはイヤッッッ!!」
リディアは、詠唱を始めた。
リディア「ケアル!」
リディアがダメージを回復させた。
しかし、その後、ボムスワームの全身が光り始め・・・・・・
ドガアァァァァァァン!!!!
連鎖爆発を起こし、リディアはその爆発に巻き込まれてしまった。
リディア「ふ・・・ぐ・・・・・・、がはぁ・・・・・・っ・・・。」
リディアはその爆発によって吹っ飛ばされ、大ダメージによってその場に倒れてしまった。
リディア「ぐ・・・・・・ぐぅ・・・・・・・・・・」
ボムスワームは、その隙を突いて、自分の元へリディアを吸い込み始めた。
ズズ・・・ズズズズズ・・・・・・・
リディアは、何とか回復魔法を唱えようとするが、すでに遅く・・・・・・
ズズズズズ・・・・・・ズズズズズズズズ・・・・・・・・
リディア「ふあぁぁぁ・・・ッ!? やぁ、のま・・・・・・れ・・・・・・っ・・・」
吸い込む速度に、リディアの詠唱は追いつくことが出来ず、とうとう吸収されてしまった。


ボムはすべてを吸収し、成長する。
草、木、鳥、獣・・・。死んだ人間の魂・・・。
そして、生きた人間でさえも・・・・・・。
じゅぅ・・・・・・っ
リディア「う・・・やぁ・・・っ・・・。あつ・・・い・・・・・・熱い・・・よ・・・・・・ぉ・・・いや、いやぁぁ・・・・・・っ・・・。ほのおは、いや・・・・・・ぁ・・・・・・っ・・・」
ボムの巣に取り込まれたリディアは、その中心核に囚われていた。
周囲を固めるボムの原型たちが赤く発行し、新たなボムを生み出すために激しい熱を放つ。その中心に囚われたリディアにとって、それは全身を炙られるような苦痛だった。
手を、足を取り込んだボムの身体が赤く、鈍く過熱してゆく。
リディア「あぁぁぁぁ・・・、ううぁぁぁっ・・・。あ、つ・・・い・・・・・・ぃ・・・こ、こんなの・・・・・・、こんな・・・の・・・・・・あぁぁぁ・・・っ・・・」
手足だけではない。
全身が囚われている狭い空間、その壁面すべてが赤く輝き、陽炎が立ち昇るほどの熱を浮かべている。
じりじりと肌が熱に灼かれ、砂漠の強い日差しよりも直接的で優しさのない熱さが全身に広がる。
・・・じゅ・・・っ、じゅ・・・
全身から噴き出す汗。それが壁面で次第に蒸発し、狭い空間に陽炎のようなゆがみが浮かぶ・・・。
リディア「ふああぁぁぁ・・・はぁぁぁ・・・・・・っ、あああ・・・、ふぁぁ・・・っ・・・だ、めぇ・・・だめ・・・・・・ぇ、こんな、の・・・・・・ぉ・・・・・・あぁぁぁ・・・」
ぐぷ、ぐぷっ・・・ぐぶぶぶぶぶぶ・・・っ
リディア「あ、やぁッ・・・また、またぁ・・・・・・っ?! だめ、ぇ・・・・・・っ。それ、だめ、ぇ・・・・・・」
不意にピクピクと震えるボムたち。
それを敏感に見咎め、拒絶を漏らすリディア。
どろぉぉ・・・・・・っ・・・
リディア「ふぁぁぁぁ・・・ッ!! あぁぁぁ、あぁ・・・ひぁ、あつ・・・ぅ・・・あぁぁ・・・ッ」
壁面から真っ赤な液体が噴き出す。
液体は身動き出来ない少女の全身をべっとりと濡らし、だらだらと伝わって空間の底の方へと流れてゆく。
少女はその液体にビクリと震え、全身を捩ってそれから逃れようとする。
しかし碌に身動きもできない状態ではその抵抗もむなしいものに過ぎなかった。
だら・・・・・・、どろ・・・・・・っ、どろぉぉ・・・・・・
次第に量を増すそのどろついた液体。
それは、新たなボムが生まれるためのボムの源だ。
熱いそれがボムの巣の底へたまり、ふつふつ沸騰して小さなボムと
なるのだ。
リディア「やぁぁ、あつい・・・あつぃぃ・・・・・・。・・・だ、めぇ・・・ボム、・・・生まれ・・・。やだ、やだぁ・・・っ。やぁ・・・・・・ほのお、・・・・・・もう、だめ・・・ぇぇ・・・・・・・・・」
震える胸板にどろどろとした熱い液体を受けながらうわごとのように喘ぐリディア。故郷を滅ぼしたものと同じ、火の悪魔が目の前で次々生まれようとしている・・・。
グゴゴゴゴ・・・・・・ ゴォォォォォ・・・・・・
グオオオオォォォォォォォン・・・・・・・・・・・・
空間全体が震え、ボコボコと遠くで激しい沸騰の音がする。
リディア「ああああっ、あっあああああッ・・・、ふぁぁぁぁっ!!! も、燃える・・・ッ!!! もえ・・・ッッ?! ひぐッ・・・ひぎ・・・っ・・・! ひああああああぁぁぁッッ!!!」
さらに過熱するボムたちに、リディアの叫びさえ灼けつきそうになる。
リディア「ひあ・・・っ、ひ・・・・・・ぃ・・・・・・ッッ! ん・・・ひ・・・ぅ・・・ッ!! ・・・・・・・・・・・・ッッ!! ・・・・・・・・・ゃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!! ぁぁぁ・・・・・・・・・!!」
熱・・・熱・・・・・・、熱・・・・・・
全身が煮えるように熱く、熱く、燃えるほど、炙られて、目の前が炎のように、揺らいで。
意識が遠のきそうになるのに、熱がそれも許さなくて、熱くて、熱くて、熱くて
リディア「やああああっ!! いやぁぁぁぁぁ!! やめてぇ・・・っ。だめぇ・・・ッ! もう、もう・・・ッ もういや・・・ぁ・・・ッ! やだあぁぁぁぁーーー!!」
叫びも自然と大きくなって、でも喉はかすれて、声を上げるたび口の奥まで熱くて。
汗、が飛び散って、ボムについて、ジュウ・・・と蒸発、肌がジリジリ、灼ける、熱い、熱く・・・
リディア「ひいっ・・・、ひぅ・・・ッ、ひあぁぁぁッ! はう・・・ッ、ひぅ・・・ッ!! やだ、あつい、あついッ・・・・・・や・・・あ・・・・・・つ・・・・・・っんぐ、んぁ・・・んぅぅ、んうううぅぅぅ・・・ッ!」
口を開けているのも辛くて、涙はずっとこぼれっぱなしで・・・
ジリジリ・・・ジリジリ。
・・・あつい・・・・・・あつい、ボム・・・。生まれる・・・・・・爆発・・・・・・、熱・・・
リディア「ああぁあぁぁぁッ、やああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・っ・・・・・・い、や・・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
グゴゴゴゴゴ・・・・・・ッ!!
リディア「ああああああああああああああああああああああッ!!!!」

やがて、リディアの体が熱に耐えかねた頃。
ボムたちの身体はすぅ・・・と赤い輝きを失い、孕んだ熱が引いてゆく・・・
しかしそれは休息の時ではない。
それは、新たな責めの始まりだった。

ずわぁ・・・っ・・・・・・
ぐごごご・・・ずぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・・・・っ・・・
リディア「あ、あぁ・・・・・・ッッ、うあああああっ・・・!! ひ、ひぅぅ・・・ッ、やぁ、や、す、吸われ・・・ッ! だ、め・・・だめっ、だめぇっ! 私の力、私の、力・・・吸わない・・・で・・・・・・えぇ・・・ぁぁ・・・ッッ!!」
熱を失い青く変化したボム。それは活動を休止したという証拠ではない。
それは、新たなボムを生み出すための栄養として、周囲のすべてを吸い上げる時がきたことをあらわしていた。
その中心に囚われたリディアはすでに何度も、周囲が青く変化するたびに全身から力を吸い取られていた。
リディア「ああぁぁぁぁ・・・・・・ッ! あああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・ッッ!!! いやあ、いやああっ!! 力・・・が・・・ひぐ・・・っ、ちから・・・・・・・・・んはぁぁぁ・・・・・・ッ・・・」
過熱し、分裂し、激しい爆発分離をした直後のボムは非常に貪欲で、吸い上げても吸い上げてもまだ吸い足りぬと言うように周囲のものすべてを吸収してゆく。
火に巻かれ死んだ人間たちの魂、怨念、救いを求める悲痛な叫び・・・
そうしたものさえ、新たなボムを作り出すためにその中心へと吸い上げられてゆく・・・。
リディアの身体からも急速に魔力が吸い上げられつつあった。
それだけではない。
魂すら吸収するボムの旧霊は、リディアの根本的な『生命』すらも吸い取ってゆく。自らの根源を吸われる虚無の感覚。それはリディアの精神に大きな穴を蝕み、喰い広げてゆく。
それでも、死なない。
生きながら取り込まれ、格好のエネルギー源となったリディアは、大量のボムを生み出すため限界まで生かされ続ける。
リディア「やあぁぁぁ・・・っ・・・。いやぁぁ・・・・・・っ・・・助けて・・・ぇ・・・。だ・・・め、ぇ・・・・・・たすけ、てぇぇ・・・・・・・・・」
リディアは弱々しく泣き叫ぶ。
リディア「おかあさん・・・ッ・・・・・・。みんな・・・ぁ・・・・・・。 やぁ・・・・・・やあぁぁぁ・・・っ。やだ、よ・・・ぅ。ボム、に、なるの・・・なんて、やだ・・・やだ・・・よ・・・・・・ぉ・・・」
少女の、いたいけな救いの声は誰に届くのだろうか・・・。
ミストの死者たちとて、すべてボムに囚われ、仇敵の一部をつくるため利用されているというのに・・・
リディア「なんで・・・ぇ、なんで・・・こんな・・・こんな・・・・・・っ・・・あぁぁぁ・・・・・・わ、わた、し・・・・・・私・・・。お母さん、みんな、助けられなくて・・・・・・いッ・・・ひぁぁ・・・・・・」
後悔の涙は止め処もなく溢れる。
しかし、それすらも今となっては何の恩恵も、感慨ももたらしはしない。
ボムの吸霊が一段と激しくなりはじめた。
新たなボムを生み出すため、残る力を一気に吸い上げようと言うのだ。
制御しきれぬ勢いで全身を支配してゆく虚脱感。
生きるための力を、蒸気のように全身から放出させられ、みるみる奪われてゆく恐怖感。
どれだけ衰弱しても、ボムが満足するまで解放されることはない。
その肉体が耐えかね滅びた後でさえ、その魂は檻に囚われ、それさえもボムに繋がれ苦悶に支配される・・・。
ずわあぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ・・・・・・
ボムの色が変わった。
再び熱を帯び始める狭い空間。
灼熱の釜が再びリディアを苛み始める。
リディア「い・・・ぐ・・・ぁ・・・・・・ひぅ・・・ぅ・・・・・・っ・・・。いや・・・いやぁ・・・・・・。た、すけ・・・・・・・・・て・・・ぇ・・・・・・」
熱に揺らぐ陽炎の奥・・・。
繰り返されるたびに掠れ、震え、細くなってゆく救いの言葉は幾度目のものだろうか・・・
リディア「セ、シ・・・・・・・・・・・・ル・・・・・・・・・・・・ぅ・・・・・・・・・」


その後、リディアが復活することは二度となかった・・・・・・


終わり

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