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妖魔戦記

魔獣姫 作


5話

その朝、ハルファスが持ってきた物は人肉ではなかった。
「これ、パン・・・よね?」
目の前のトレーに盛られた茶色い物体を指差して確認するロザリー。
「そうです。貴女が人肉を食せないとおっしゃるから、昨日わざわざ買ってきてやったんです。」
「わ、私のために?」
「捕虜に死なれたらこっちが困りますからね。」
と素っ気無く答えたハルファスの尖った耳に、来訪者の声が聞こえた。血色の瞳孔が警戒に細くなる。
「来客とは珍しい。すぐに戻りますから、貴女はここを動かないで下さい。」
ハルファスは黒い鎧と仮面を身に付け、腰に帯刀すると来訪者のほうへと向かった。その後からガルムがついていく。部屋に1人残されたロザリーは大人しく待っていた。

「どなたですか?」
ハルファスは黄色のドアに背中を付け、戦闘準備万端の状態で、ドア越しに来訪者と対話していた。
「ウァサゴだ。とっとと開けろ。」
「・・・どうです?本物ですか?」
「クーン。」
隠し窓から来訪者の姿を確かめ、隣に居る黒い友人に尋ねるハルファス。匂いを確認したガルムはこくりと頷いた。ため息を吐き、仮面の下の顔を嫌そうに歪めながら、城主はドアを開けた。
「ウァサゴ、貴方のような能無しが一体何の用です?」
ハルファスの来訪者への開口一番の台詞だ。
ウァサゴはハルファスと同じように尖った耳と翼を持っていたが、逆立った髪と翼の色は紫味を帯びた黒、日に焼けた肌に、目は紫色だった。背はハルファスより低く、鷲鼻と太い眉の目立つブ男だ。
「このような薄汚い石の城、来たくて来たのではない。」
「その薄汚い城の製作者に、築城の依頼をしてきたのは誰でしたっけねぇ?」
互いに相手に敵意をぶつけるハルファスとウァサゴ。ガルムはハルファスの隣で歯を剥き出し、唸っている。
「今日は貴様とくだらんおしゃべりをするために来たのではない。大魔王様のご命令で、この城の査察をしろとのことだ。」
「ほう、査察に貴方のようなのをよこすとは、大魔王の奴ももうろくしてきましたか。」
「大魔王様を『奴』呼ばわりとは、命知らずな奴だな。」
「僕が誰を何と呼ぼうが僕の勝手です。あんな奴、父親と思うのも反吐が出ます。」
仮面の奥で憎悪にぎらぎらと輝く血色の瞳。しかし、ウァサゴはそれに気付かない。
「とにかく、そういう訳だ。入らせてもらうぞ。」
そう言いながら入城しようとしたウァサゴの進路を、腕で妨害するハルファス。
「お断りします。自分の城は自分がよく知っています。貴方のような下衆な輩に、僕の城を荒らされたくはありません。僕の城は問題無し。問題があるのは貴方の頭です。あの馬鹿親父にもそう伝えておきなさい。」
ハルファスは以上のことを告げると、ウァサゴの鼻先でぴしゃりとドアを閉めた。
「・・・大魔王の奴、僕を疑い始めてますね。査察をよこしてくるとは。」
「クーン、キューン。」
「なに、心配なさらないで下さいガルム。僕が居る限り、あいつらの好き勝手に手出しはさせません。」
心配そうに鳴くガルムを、グローブ越しに撫ぜるハルファス。
「きゃああああああああ!!」
突然の悲鳴が空気を引き裂く。
「ロザリー!?」
ハルファスとガルムは慌ててロザリーの待つ部屋へと向かった。

「ほう、妖精の女ではないか。ハルファスの奴、こんな上玉を隠しておったとは。」
「だ、誰なのよ貴方!?」
いきなり部屋に現れた侵入者に、ロザリーは噛み付くように問う。
「我輩はウァサゴ。魔界の王、大魔王様の第6王子であり、直任の査察官だ。」
にたりといやらしい笑顔をロザリーに向けるウァサゴ。ロザリーの体を嫌悪感が走る。
「今日はこの城を見てくるようにとの大魔王様のご命令でな、ハルファス目が何か隠し持っているようだったから、それを探りに来たらこの部屋に出たという訳だ。」
なおも気持ちの悪い笑顔をするウァサゴ。
「大魔王様に査察官にしていただけたのも、このようなことができるのも、我輩が奴のような出来損ないと違う完璧な魔族だからだ。」
「奴って誰のことよ?」
「出来損ないと言ったら、あのハルファスの青二才に決まっておるではないか。」
ウァサゴがハルファスを嘲笑した途端、ロザリーの中で何かが爆発した。
「彼は出来損ないなんかじゃないわ!!ちょっと色が白いだけじゃない!!それを寄ってたかって出来損ない出来損ないって馬鹿にして!!彼はこの私を打ち負かすほどの実力者よ!!貴方なんか彼の足元にも及ばないくらい弱いくせに!!出来損なってるのは貴方のほうよ!!」
ロザリーは言い終えてからハッと気付いた。どうして自分がハルファスのために怒っているのだろう?彼は敵なのに、自分を犯したのに、皆の仇なのになぜだろう?
「どうやら、生意気な小娘には躾が必要なようだな。」
にやりと不吉な、何かを企んでいるような視線をロザリーに向けるウァサゴ。
「近寄らないで!!」
手をかざして妖力でウァサゴを吹き飛ばそうとしたが、何も起こらなかった。
「何をするつもりだったのだ?」
「ど、どうして?」
困惑するロザリーの脳裏に、ハルファスの言葉が思い浮かんだ。
『僕の特製の発明品です。装着者の妖力、魔力を吸収します。それに捕虜にあるまじき思想や行動をしようとすると、それを読み取り、装着者に電流を流すという優れものです。』
つまり、彼女の妖力は首輪によって、ほぼゼロに等しいところまで弱められていた。
「何をするつもりだったかは知らんが、無駄な抵抗だ。」
ゆっくりと美しい妖精に近づく不細工な魔族。
「よ、妖力が無くったって、剣があるわ!!」
部屋の壁にかけてあった剣を取りに行こうとしたロザリーの後ろ手をウァサゴが捕まえた。
「放しなさいよ!!」
「躾が済むまでは放せん。」
ウァサゴはにやにや笑いながらベッドにロザリーを押し倒した。
「やめなさいよ!!この変態!!」
「我輩には褒め言葉だな。」
ウァサゴは片手でロザリーの両手を、彼女の頭の上で掴んで固定する。ロザリーは足で相手を蹴って必死に抵抗するが、皮肉なことにそれがかえってウァサゴの欲望を燃え上がらせる。
「いきのいい女だ。これでこそ躾のし甲斐があるというものだ。」
笑いながらそう言うと、ウァサゴはロザリーの服の胸元を破いた。
「やああああああああああああああああ!!」
ロザリーの豊かな胸があらわになった。
「いい形、大きさをしている。味はどうかな?」
ベロリと豊かの乳房の頂上を舐めるウァサゴの舌。ロザリーの体を快感が走るが、ハルファスに陵辱された時とは違うものだった。
ハルファスの時はとろけるような快感だったが、ウァサゴの場合は快感と共に悪寒が走る。鳥肌が立つ。
「はうっ!!いやあ!!やめて!!」
ウァサゴは無視して乳首を責め続ける。蹴り付ける足も、快感によって力が抜けてゆく。
「うむ、味もいいものだな。ではここはどうかな?」
今度はスカートと下着を破いて取り、体を割り込ませて足を開かせ、割れ目に指を入れてかき回す。
「いや!!ああん!!いやあ!!はあん!!」
「おお、ここも声も素晴らしい。」
蜜があふれる花園をウァサゴの指が往復する。舌が乳首を舐めまわす。
「ああ!!ダメ!!ひあ!!やめ!!ああ!!いやあん!!」
心がいくら拒絶しても、体は気持ちの悪い愛撫によって応え、開いてきていた。
「さて、そろそろいい頃合だろう。」
ウァサゴのそそり立った赤黒い欲望が、ロザリーの入り口にそえられた。
「助けて・・・ハルファス!!」
「ロザリーどうしました!?」
ハルファスがドアを勢いよく開けた途端、先ほど閉め出したはずのウァサゴがロザリーの上に覆いかぶさり、己を挿入しようとしている光景が飛び込んできた。
ロザリーの顔は涙でグシャグシャ、服は破れて乳房と下半身が丸出しだった。
「誰がいつ貴方にこの城を勝手にうろつきまわっていいと許可を出しました?」
「うるさい!我輩は大魔王様直任の査察官だ!査察する城で何をしようが勝手だ!貴様のような出来損ないにとやかく言われる筋合いは無い!」
怒りの視線を叩き付ける城主に、ウァサゴが反発した。しかし、彼は自分がとんでもない失言を言ってしまったことにまだ気付いていなかった。
「貴様、このハルファス様が何という二つ名で呼ばれているか、忘れたわけではなかろうな?」
殺意で激しく燃え上がるピジョンブラッドアイ。その迫力に誰もが言葉を失った。
「いいか?こいつは僕の獲物だ。誰にも手出しはさせない。僕の獲物に手を出していいのは僕だけだ。お前じゃない。」
ハルファスに睨まれ、ウァサゴは凍りついた。
「いや、え~と・・・。」
「死にたくなければそいつから離れろ。今すぐにだ。」
いつの間にか、ウァサゴは後頭部に剣の切っ先を突き付けられていた。
「わ、わかった。わかったからそれを引っ込めてくれ。」
ハルファスが剣を離すと、慌ててウァサゴはロザリーから離れた。
「もしやハルファス、その女。」
「勘違いするなよ。自分の捕虜に手を出されたとあったら、この僕の名折れになるからな。」
ハルファスは目だけをちらりとロザリーに向け、剣を相手に突き付けて話す。
「さあ、早くこの城から立ち去れ。僕の胃袋に収められたくなかったらなぁ。」
ハルファスの本気の殺気に、ウァサゴはなんとも情けない様子で逃げていった。ガルムが吼えながらその後を追って行った。
部屋に2人きりになり、やっとハルファスは剣を納めた。
「・・・・・遅くなりました。」
黒尽くめの剣士はゆっくりと口を利いた。
「私、もう少しで、犯されるとこ、だった。」
しゃくりあげながら語るロザリー。
「ここで、待ってたら、いきなり、あいつが、入って、きて、ベッドに、押し倒して、服を、破いて、それで、それで・・・。」
そこで彼女の言葉が途切れた。2つの湖から水があふれ出す。
「もういい!!言うな!!」
ハルファスは叫び、仮面の下の乳白色の顔を歪ませる。悔しかった。ウァサゴが隠し物を見つける術にたけていること、侵入が得意なこと、女好きであることを忘れていた自分に腹が立った。
「ハルファス、浴室に連れて行って。」
「え?」
ウァサゴへの怒りと自責の念に浸っていたハルファスの腕を、ギュッと掴むロザリーの美しい手。
「あいつに触られて汚れたこの体を今すぐ清めたいの!お願い!」
黒い鎧にしがみ付き、赤毛の妖精はポロポロ涙をこぼす。
「・・・わかりました。それで貴女の気が済むのでしたら。」
ハルファスはロザリーをそっと抱え上げ、浴室へと連れて行った。

ハルファスは青いドアの前でロザリーを下ろした。
「使い方は、おわかりになりますか?」
「ええ。」
ぎこちなく確認するハルファスに、ロザリーは蚊の鳴くような声で答えた。
「ここで見張ってますから、何かあったら呼んで下さい。何も無いとは思いますが。」
「ええ。ありがとう。」
妖精の悲しげな微笑みに、魔族の胸はズキリと痛む。
ドアの向こうへ消えていく華奢な姿を見送ることしかできない自分に、ハルファスは益々腹を立て、拳を壁に叩き付けていた。
一方、浴室の中ではロザリーが、美術品のような裸体にシャワーをかけていた。
何滴もの水滴が形の良い乳房、くびれた腰、なだらかな足へと伝って落ちていく。
「汚い、汚い・・・。」
泣きそうな声で呟きながら、体中を洗い流すロザリー。みずみずしい肌が、シャワーで温められ、赤味を帯びていく。
「汚い、汚い・・・。」
何度も何度も己の体を洗う。シャワーが熱を持った裸体を打つ。

「ロザリー、いつまで入ってるんですか?」
なかなか出てこないロザリーに、ドアをノックしながら尋ねるハルファス。
「開けますよ?」
ドアノブに手をかけ、浴室のドアを開いた。
「ろ、ロザリー!!」
彼の目に映ったのは、裸のまま床にぐったりと倒れた赤毛の妖精の姿。その上からシャワーが容赦なく降り注ぐ。
「しっかりしろ!!おいロザリー!!」
鎧姿のまま駆け寄り、気を失ったロザリーを抱き起こすハルファス。
ザーーー
浴室にシャワーの音だけが響く。

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更新日:2010-01-17

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